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インドで良く使われるホールスパイスの一覧と解説

1つ前の記事ではカレーに良く使われる基本的なパウダースパイス4種を紹介しましたが、カレーを作る場合に粉にせずにそのままスパイスを使用する場合も多々あります。

こちらの記事ではカレーを作る際に良く使われるホールスパイスをまとめて紹介します、良く見る物から余り見ない物まで一通り紹介しますので、インドカレー店等でカレーを食べてて「なんだこれは?」みたいな物が入ってた場合の参考にして貰えれば幸いです。

 

カルダモン(cardamon)

グリーンカルダモン

こちらはカルダモン、ショウガ科に属している植物で、薄く紙のような外殻と小さくて黒いの種子を持っており、さわやかで上品な芳香が特徴、その香りから「スパイスの女王」等と呼ばれています。

カルダモンはもっとも古くから使われているスパイスの1つで、紀元前2世紀ごろには既にインドからヨーロッパ等に輸出されていた等とも言われています。また、スパイスの中では3番目にグラム単位の価格が高級なスパイスです。(カルダモンよりも価格が高いスパイスはバニラとサフランのみ)

インドりょうカレーの他ビリヤニ等にも良く使われている為、ライスと一緒にカルダモンを食べてしまい、うっかりガリっと噛んで口の中に強烈な芳香が広がってびっくりした経験がある方は多数いらっしゃると思われますが、どんなに食べなれててもたまに噛んじゃう事はありますし、むしろ慣れると「あ、カルダモンか」と動じなくなりますのでご安心下さい。

また、チャイやお菓子等にも用いられたりと甘い物との相性も良く、インド以外のヨーロッパ諸国や北欧等でも料理に用いられたり、中東辺りではコーヒーに入れたりと世界中で幅広く使われています。

 

ブラックカルダモン

こちらはブラックカルダモン(ブラウンカルダモン・ビッグカルダモン)と呼ばれている物で学名はアモムム・スブラトゥム(Amomum subulatum)、ネパール辺りが原産の植物でグリーンカルダモンとは同じ種なのですが、風味等は全く異なります。

渋くてスモーキーと言った感じの落ち着いた香りで、こちらのカルダモンは肉系カレー等に用いられるのがメインです。

 

クローブ(Clove)

日本では釘に形が似ている事からチョウジ(丁子、丁字)等とも呼ばれている、フトモモ科の樹木チョウジノキ(Syzygium aromaticum)の花蕾を乾燥させたホールスパイスです。

こちらもカルダモンとはまた違った方向性のどことなく甘みのような要素が混ざった強い芳香があります。インド料理ではカレーの他にチャイ等にも良く使われており、前述のように甘い香りがする事からヨーロッパ辺りの地域でも料理やお菓子に用いられているそうです。

ちなみにクローブにはゴキブリが嫌う「オイゲノール」成分が含まれている為に、ホールのクローブをゴキブリが居そうな場所にホールで置いておくとゴキブリが生息しづらい環境になる為寄り付かなくなるそうです。

ゴキブリ自体を見たくないなんて方は良い駆除方法かもしれませんね。

 

シナモン(Cinnamon)

セイロンシナモン(Cinnamomum)

セイロンニッケイ(錫蘭肉桂、Cinnamomum verum)と呼ばれるスリランカ辺りが原産の植物で内樹皮からシナモンを作ります。

ナモンは世界最古のスパイス等とも言われており、紀元前4000年頃にはミイラの防腐剤等に用いられていたそうです。日本には世紀前半頃には入っていたそうで正倉院の宝物の中にもシナモンが残されていたそうです(当時は食用では無く薬として用いられていたとか)

スパイスに詳しく無い方でも嗅げば大多数の方が「この香り知ってる!」と感じるような特徴ある甘い香り、私が初めてシナモンのニオイを嗅いだのはミスタードーナツのシナモンドーナツでしたが、多分そういう人は私の他にもたくさんいるんじゃないでしょうか?

 

カシア

こちらもシナモンの仲間で中国南部原産の常緑樹であり、シナニッケイやchinese cinnamon等と呼ばれたりもします。

セイロンシナモンに比べると香りが強くなんと言うか「シナモン!!」って感じの強く主張してくるような感じで、ウィキペディアなんかだと「セイロンシナモンに比べると繊細さに欠ける」なんてイヤミったらしく食通ぶった書き方をされててちょっと可哀想だなって思ったり。

ウィキペディアのその部分記述した人、食べログとかにねちっこいレビューたくさん投稿してそうなタイプだわ。

もっともカシアはセイロンシナモンに比べるとかなり安く手に入ります、例えばアマゾンだとGABANのセイロンシナモンの20本入りが1230円でで売られてます。


GABAN シナモン スティック セイロン(シール巻) カップ 20本
普段使うにしてはかなり高級なスパイス、上記商品は20本表記だけど内容量は80g。

しかしカシアだと


シナモンスティック カシア カシャ 50g
50gで500円位、上のセイロンシナモンと同じく80gにしたら800円位だから500円位安い。

ちなみに街中でたまに見かけるようなアジアン食材店でもシナモンが売られてる事は多いんだけど、そういうお店だったらもっと安く買える場合もあります。

カシアの方が安く済むお陰で普段使いしやすく、多分町のカレー屋の殆どもシナモンはこちらを使ってるんじゃないでしょうか?ちなみにイギリス辺りでもシナモンと言えば大体こっちが使われてるんだそう。

チャイやスイーツ以外にカレーにも使う事が多いシナモンだけど、カシアを使う場合はかなり風味が強いのでうっかり入れすぎてしまうとシナモン風味が強すぎるカレーになって残念な出来になってしまう為、入れすぎにはかなり注意が必要なスパイスです。

 

クミンシード(Cumin Seed)

地中海沿岸東部からインド辺りまでに自生しているセリ科の一年生草本、前回の記事ではクミンパウダーとして粉上にした物を紹介しましたが、種をそのままホールスパイスとして使用する事も良くあります。

特に北インドの地域では良く使われていてジーラ (जीरा jeera)と呼ばれており、カレーのスタータースパイスや、ジーラライスと言うクミンと一緒に炊き込んだライスが割とメジャーだったり。

後はアルジラと言うジャガイモとクミンの炒め物なんかもあって、私はこれが好きなのでたまに家でも作ります。

北インドではどメジャーなスパイスなのですが、逆に南インドでは余り使われないようです。

 

インディアンベイリーフ(別名:シナモムタマラ,タマラニッケイ)

アジアン食材店では「ベイリーフ」表記のみで売ってる事も多いこちらの食材、西洋の煮込み料理等で使うベイリーフ(ローリエ、月桂樹)と混同されがちなのだが、全く別の植物で風味もかなり違っている。

葉脈の向きが上記のように縦方向に走っているのがタマラニッケイで、横向きにも走っているのがローリエで1枚の葉のサイズもタマラニッケイの方がかなり大きい為に見分けるのは容易です。ちなみにこの2つの植物はクスノキ目クスノキ科までは同じなのですが、ローリエはゲッケイジュ属でこちらはニッケイ属と別の植物です。

カレーの他にチャイやビリヤニ等にも使います。月桂樹なんかは結構特徴的な香りがしますが、逆にベイリーフはなんと言うかマイルドな香りで、カレーのスパイスの1つとして使ってもそんなに強く主張はしてこないような気がします。食べててもたまに「あ、居るな」って感じる位。

 

 

 

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