日本全国どこにでもカレー店はある、中には「どうしてこの場所に!?」と思わず呟きたくなるような、意外な場所でカレー店を発見してびっくりした経験がある方もいらっしゃるのでは無いだろうか?
その手のお店の大多数が「インド&ネパール料理」等と言う表記をしており、巷ではこの手の店を「インネパカレー店」等と読んでいます。
インネパカレー店を簡単に定義するならば
「インドカレーを提供する、ネパール人が働くカレー店」
と言った所でしょうか?
基本的にはインド北部辺りのカレーをベースとしたメニュー構成で、それとは別にメニューの端々にインネパカレー店らしいメニューがチラホラと含まれていたりもするのも特徴。
インドカレーを初めて食べたのがこの手のカレー店だと言う方や、その後のカレー沼にどっぷりと漬かるきっかけになったのがこの手のカレー店だと言う方も少なく無いと思う。
かくいう私もそういうクチで、私が昔住んでた一応マンションと言う体のボロアパートの1Fがその手のインネパカレー店で、安くてナンがお代わり自由でさらには家の下と言う行き易さもあり、しょっちゅう行ってた。
ちょっとカレーについて知ってる方は「インネパカレー(笑)」なんて小馬鹿にしがちだけれども、私はインネパカレー店にはインネパカレー店の魅力があると思っています。
この記事ではそんなインネパカレー店の概要やあるある等について簡単にではあるけれども紹介させて頂こうと思いますので是非最後までご覧下さい。
インネパカレー店の特徴
さて、そんな街中で良く見かけるようなインネパカレー店にはかなりの共通している事柄がある、こちらではそんなインネパカレー店の共通項についてお話しよう。
日本におけるインネパカレー店の歴史や広がりについては、私が書籍で読んだおぼろげな記憶をかいつまんで話すよりも詳細に記した書籍があるので紹介させて頂こうと思います。
インド雑貨や食器を輸入&販売されているアジアンハンターの小林真樹さんが執筆された書籍で、様々なインネパカレー店のエピソードが綴られており、例えば北海道の僻地にインネパカレー店を構えているお店の店主がどのようにしてその地に店舗を構えるようになったのか等、インネパカレー店についての興味深いエピソードが多数記載されている。
日本のインド・ネパール料理店
インネパカレー店の歴史について知りたい方は是非とも読んで頂きたい。ちなみに地域によっては図書館で借りられたりもするので、気軽に読んでみたい方は図書館に行ってみると良いかも。
ちなみに私も「日本の中のインド亜大陸食紀行」は購入したのだが、こちらの書籍は図書館で借りました。
インネパカレー店の特徴を箇条書きで挙げていくと
チーズナンやハニーナン、場合によってはチョコレートナン等、ナンのレパートリーが多い。
ランチタイムはナンお代わり無料(1回のみ無料の場合もある)
チキンカレー・バターチキンカレー・ほうれん草カレー・キーマカレー・マトンカレーetc・・・どの店行っても取り扱ってるカレーの種類がほぼ同じ
キャベツの千切りに申し訳程度に他の野菜が乗ってオレンジ色のドレッシングが掛かったサラダがまず運ばれてくる
ラッシー頼むと「多分これパックで売ってるのむヨーグルトをコップに注いだだけなんだろうな」ってのが出てくる
ついてくるライスは普通の日本米かターメリックで黄色く色づけた日本米
ダルバートとかを取り扱ってるようなお店は少ないが、モモを取り扱ってる店は結構多い
大体の店がいつ行っても空いてる
ランチタイムとディナータイムのコスパの差が激しい
辺りでしょうか?
その他にも思いついたら追加していきます、もしこれを見た方で「こんなのもあるよ!」と言うのがありましたらコメント欄で教えて下さい。なるほど!と思ったら追加させて頂きます。
インネパ店のカレーのお供と言えばなんと言ってもナン!
こちらの写真は私が以前インネパカレー店を訪問した際に頂いた、チーズガーリックナンとマトンカレー、真ん中にあるのがタマネギのアチャール。
前述のように基本インネパカレー店のメニューのベースとなっているのは北インド辺りのカレーで、クリームやナッツ等を使用した濃厚でクリーミーな味わいが特徴。
インネパカレー店ではナンかライスが選べたり、セットによってはどちらもついてきたりする。そしてインネパカレー店だと大体のお店でチーズナン等、ナンの種類が色々あったりするが、インドには日本で言う所のチーズナンのようなメニューは存在しないそうです。
インドにもパニールクルチャと言う似たようなメニューはあるのだけれども、齧るとビヨーンと伸びるようなとろけるチーズを入れたチーズナンは、恐らく日本のこの手のインネパカレー店で生まれたメニューのようです。
ちなみに少しカレーについて聞きかじったような方は「インド人はナンを食べない」なんて言ってたりもするのですが正確には少し違います。
単にインドの家庭にはタンドリー釜が無い家庭が殆どなので家庭ではナンを作るのがまず難しいために、インドの一般家庭ではタワと言うフライパンのような物で焼けるチャパティがメインの主食になっていると言うだけです。
ナンを提供している飲食店自体はインドに普通に存在します、ただしインドの方にとっては日常食では無いと言う感じで、極端かつ判り易く例えるならば日本人にとってのにぎり寿司みたいなものでしょうか?実際ナンは元々宮廷料理で提供されていた物だったようで、一般の方にとってはチャパティに比べるとハイソな食べ物のようでしおすし。
インネパカレー店に良くあるメニュー
タンドリーチキン(Tandoori Chicken)
インネパ店に限らずタンドール釜を置いてるようなカレー店にはほぼ置いてあるメニューで、タンドール釜でヨーグルトとスパイスに漬け込んだチキンを焼いたメニューです。
リアルインドのタンドリーチキンの作り方はこんな感じ。
チキンティッカ(Chicken Tikka)
こちらは簡単に言えば骨無し&一口サイズのタンドリーチキンで「ティッカ」と言うのが破片や一片をあらわす言葉のようです。
チキンセクワ(Chicken Sekuwa)
チキンティッカでは無くチキンセクワと言う料理を出しているインネパカレー店も良くあります。
日本のインネパカレー店で見る限り大雑把に言えばチキンティッカとほぼ同じ物が出てくると考えて良いかと。
色んなレシピを見た所ターメリックを使うとチキンセクワ、パプリカを使うとチキンティッカであるなんて説明をしている方もいらっしゃいましたが、恐らくそこらへんは諸説ある感じと思われます。
また、羊肉で作ったマトンセクワなんて料理を出しているお店もたまに見かけますが、チキンセクワやチキンティッカに比べるとメニューに乗ってる率は低いです。
シークケバブ(Sheekh Kebab)
スパイスと一緒に捏ねたひき肉を串にくっつけて焼いた料理で、日本で言うきりたんぽに見た目は似ています。
インネパカレー店以外に普通のインド料理店やパキスタン料理店等でも結構見かける、カレー店に共通する位に定番メニューです。
私はずっと大好きで、先日パキスタンカレー店に行った事が無い知人を連れて行った所、シークケバブが一番わかりやすく美味しいと言ってました。
しかしこの記事を書く際にシークケバブでグーグル検索してみた所、検索候補に「シークケバブ まずい」なんてのが入っててびっくりしたのだけど、確かにお店によっては焼いた状態で作り置きしてたんだろうなって感じのパサパサしたのが出て来てがっかりした事があり、初めて食べたシークケバブがそういう奴だったら確かに印象良く無いだろうなあと納得する部分はあります。
ただ、美味しいお店のシークケバブは本当にジューシーかつスパイスもガッツリ効いてて本当に美味しいですよ。
マライティッカ(Malai Tikka)
こちらはチキンティッカを提供しているお店では合わせて結構な確率で提供している料理。チキンティッカと違いマライティッカは牛乳を温めた時に出来るあの膜を使ってチキンを漬け込んで作る料理で、白い色をしているのが特徴。
基本辛く無く優しい味わいなので辛い物が苦手な方はチキンティッカよりこっちの方が好きかもしれません。
ただ、日本のインネパカレー店では牛乳の膜では無く、少し簡略化して生クリームやヨーグルト等に漬け込むレシピで作っているお店が多いようです。
モモ(Momo)
ネパールの蒸し餃子で見た目は小龍包みたいな感じ、中身は日本のインネパ料理店だと大体は鶏のひき肉。それをカレーペーストみたいな奴に漬けて頂くような感じのメニュー。
元はネパール料理のようですが、現在ではインド等でも提供しているお店が結構あり、蒸しタイプじゃなくて揚げたタイプや、中身が鶏肉じゃなくて野菜の野菜モモなんてメニューもあります。
ただしそれらを日本のインネパ店で見かける事は余りありません・・・と、言うか私はまだ見た事がありません。
チャウミン(チョウメン/炒麺/Chow Mein)
ネパール風の焼きそばですが、ちゃんと作ってるようなお店もあれば日本のスーパーで売ってるような焼きそばにちょっとスパイスを足して具を変えてみましたみたいな適当なお店もあったりで割と店によって味が違います。
ちなみにチャウミンと言う名称は北米やカナダ辺りでも通じる名称で、そっちで言うチャウミンは完全に中華風の味付けのようです。
サモサ(Samosa)
ジャガイモやタマネギ、豆等を小麦粉で作った皮に詰めて三角形の形にして揚げた料理、インネパ店だとケチャップが添えられて提供される場合が結構多いイメージ。
具が前述のような感じなので思ったよりもずっしり来るメニューです。
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ダルバートを提供しているインネパカレー店が少ないのは何故?
しみじみおいしいのがダルバートの好きな所だけど、中には生物として抗えない鮮烈なうまさのものがあり、今日のはまさにそれ。未体験の旨味や酸味に満ちていて、聞けばラプシやスマックの実の粉を使ったりしていて、パウダースパイスは店で挽いているそう。気絶するほどうまい。@小岩 ハングリーアイ pic.twitter.com/vHXmuBK7mF
— カレー旅田嶋_東京ダルバートMAP दालभात (@currytrip) October 18, 2022
ダルバート(Dal Bhat / दालभात)と言うのはネパールで「定食」を意味する言葉で、皿の上にメインのカレーと数種類の副菜が乗っている、インドで言えばターリーやミールス的な物。
一昔前はダルバートを提供しているお店は殆ど無かった。
提供しているお店が殆ど無かった理由としては恐らく
ネパールの方々にとっては日常食過ぎてわざわざレストランで出すような物じゃない&これを出しても日本人にはウケないだろう
と、考えたからだと思われる。
けれど現在ではネパール料理に関する認知度も昔に比べれば上がり、それに伴ってダルバートを食してみたいと考える日本人も増えてリクエストされる事もあるのか、現在のインネパカレー店ではダルバートを提供しているお店も少しずつ増えている・・・とは言っても多分インネパ店の割合で言えばまだ1割以下じゃないだろうか?
その位に貴重なメニューなので、もしもふらっと入ったインネパカレー店のメニューにダルバートがあった場合私は迷わず注文するし、皆様にもダルバートを注文してみるのをオススメする。
メニューになかったとしても従業員のまかないにのみダルバートを造っているなんてインネパカレー店もあり、そういう店では頼むと作ってくれる場合もあるそうだ。
ただちょっと敷居が高いし私もそんな頼み方をする度胸はない。
下記の動画は多分ネパールの若者Youtuberがダルバートの大食いにチャレンジしている企画、普段のお店で出て来るダルバートは当たり前だけれどこんな量じゃないので安心して貰いたい。
ただ、ダルバートの大食いなんて動画はとても珍しいのでつい紹介したくなってしまった。
あとがき&インネパカレー店で私が食べて貰いたいメニュー
インネパカレー店のカレー以外のメニューでオススメを聞かれたならば、私は迷わずシークカバブとモモと答える。
恐らくはどちらも基本そんなに好き嫌いが分かれるようなメニューじゃないと思うし、何より単純に私の好物だから。
勿論ダルバートがあるお店だったらさっきも言ったように是非頼んでみて欲しいのだけれども、取り扱っている店が少なく、ダルバートを求めて探し回らないとまず出会えない。
日本全国各所にあるような普通のインネパ店では遭遇率が低すぎるので薦め辛いのです。
逆に余りオススメしないのは「多分店のコックが日本人ウケする新メニューは何か無いか苦心したんだろうなあ」って感じの日本とインドもしくはネパール要素が融合した店独自な雰囲気漂うオリジナルメニュー。
昔インネパ店のメニューに「カレーうどん」があったので好奇心で頼んでみたのだけれども、完全に伸びきった冷凍うどんにクリーミーなバターチキン系のカレーを合わせたのだと思われる、ミスマッチにも程があると言いたくなるようなメニューが出て来た。
ちょっと口に合わない位ならば残さず食べる私でも完食出来ないレベルでした。
その経験から私が学んだのは餅は餅屋なのだからソノ手のお店では間違いない奴を注文するのが良いと言う事。
皆様もそういうニオイのするメニューを見かけたらそこは好奇心を抑える方向に行かれるのが良いと私からはアドバイスさせて頂きます。